埼玉県RSV流行監視ワーキンググループ(RSVWG)からのコメント
埼玉のRSV感染症発生動向調査からも流行は再び増加してきている。よりたくさんの乳幼児、特に出生直後の児をRSV感染から守るために、RSVWGでは投与方針を以下とする。
- 2025年7月7日に埼玉県は(※)通年流行地域になったと宣言し、1年を通じてシナジスまたはベイフォータスを投与開始可能とした。
- 同時に、適応がある児の2シーズン目以後も通年型投与とする。
- 年間を通して、ベイフォータスもしくはシナジス投与の適応がある児は周産期施設等からの退院時(あるいは退院後可能な限り早期)に投与を開始する。
- 現在すでにシナジスを投与している児は、連続8回までは投与を継続する。
- シナジスの2シーズン目投与の適応がある児は1シーズン目の初回投与から原則1年後に投与開始とする。仮にRSV感染症発生数の急増や、対象児のリスクが高い場合などの理由により1年あけられない場合には、2シーズン目以降の開始月は直前シーズンの最終月と連続しないこととし、前シーズンの最終投与から可能な限り2か月程度投与間隔をあけて、各施設の判断で次シーズンの投与を開始する。この場合は必ずレセプトへの症状詳記を忘れないようにする。
- ベイフォータスの2シーズン目投与は、原則1シーズン目投与の1年後とする。ただし、その時期の地域での流行状況を参考に、多少の投与時期の前後も考慮される(埼玉県でも流行に地域差がみられることから、各施設の判断による)。
- 流行状況は刻々と変化しており、毎月の症状詳記を詳細に記載する。
①投与の適応となった傷病名、病態(傷病名はレセプトにも記載が必要)
②(シナジスの場合)今回が何シーズン目で、そのシーズンの何回目の投与か
③投与時の体重 - 以上の原則に当てはまらない症例については、小児科学会埼玉地方会事務局を通じて埼玉県RSV感染症流行監視WGに適宜お問い合わせ下さい。
- シナジスとベイフォータス投与のフローチャートを図に示しました。ご参考下さい。
- ベイフォータスは、心疾患による人工心肺使用後の補充投与以外は、多くても2回投与までである。この場合以外の3回投与は認められない(ほとんどは適応は1回投与)。
- 小児科学会よりニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドラインQ&A(第3版、20250831Nirsevimab_GL_QA.pdf、2025年9月10日アクセス)が出ています。参考にしてください。
※RSV通年流行とは1年を通じてRSV感染症の発生数・報告数が一定数を下回らず、感染の可能性が続く状態のこと。

2025年9月16日
埼玉県RSV感染症流行監視ワーキンググループ
大山昇一、金井雅代、國方徹也(文責)、小島拓朗、小林敏宏、菅沼栄介、清宮綾子、側島久典、細野茂春、峯眞人、森脇浩一