埼玉県RSV流行監視ワーキンググループ(RSVWG)からのコメント

 埼玉県RSVWGでは2026年2月24日にベイフォータス・シナジスの投与に関してのコメントを発表し1)、完全通年性を採用した。今回、先天性心疾患などの投与方法につき、新しい知見を加えた。

  1. 人工心肺使用下の心臓手術後におけるベイフォータス補充投与について
  • 1)人工心肺手術後は血中の抗体濃度が低下するため、ベイフォータスの「補充投与」は全例に推奨する。 
  • 2)補充投与は、人工心肺使用下の心臓手術(術後完全修復例含む)、術式を問わないICR(心内修復術) ECMO(体外式膜型人工肺)などを実施した際には、術後可能な限り早期に行う。 
  • [解説] ・補充投与は人工心肺によって失われた分のベイフォータスの血中濃度を補うことが目的であり、あくまでもシーズン投与を補完する役割の「補充」であり、追加投与ではない事を理解する。補充投与から正規の投与までは最低5か月間空ける。 
  • 3)補充投与は、1回の手術(体外循環)ごとに1回補充投与する。投与時期・投与量などは参考文献2)のQ5を参照する。
  • 4)心疾患以外で、ベイフォータスの適応があり投与されていた児のECMO治療後も同様に対応する。(添付文章上は心臓手術のみの記載であるため、症状詳記(ECMOの実施期間、抗体濃度低下が想定されること、前回投与・投与量など)を詳細に記載する)。もともと適応がない児のECMO施行後の投与は認められない。
  1. 先天性心疾患児へのベイフォータス投与基準について
    利尿剤等の使用の有無、欠損孔のサイズに関わらず、ベイフォータスの投与を推奨する。WGでは、先天性心疾患に関しての適応を広く解釈する。ただし、症状詳記を明記しておく(下記5の注意点参照)。
  2. 来春よりエヌフロンシア・ベイフォータスの投与がユニバーサル(つまり出生児全員が定期投与対象)になる可能性あり、その時の母体投与ワクチン(アブリスボ)との棲み分けなど情報が入り次第連絡する。
  3. まだまだ保険診査上の問題は残るので、詳細な症状詳記が必要である。
  4. レセプト記載上の注意点
  • 1)適応疾患、早産児の場合は在胎週数、出生体重
  • 2)投与時の体重
  • 3)その投与が何クール目の何回目の投与か
  • 4)2クール目投与の場合は、最終のベイフォータス・シナジスの投与月日(投与間隔が適正か確認のため)
  • 5)添付文書に記載されている病名を極力詳記に記載するようにする。添付文書に記載がなく、その趣旨に合った児に投与する場合はより詳細な症状詳記を必要とする。

 ベイフォータス・シナジスの投与に関する大きな方向性に関しては、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会から出されている、最新のニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドラインQ&Aを参考にされたい2)。一例として東京都の方針を引用する3)。保険診査は患者さんの居住地ではなく、医療機関の所在地の自治体で行われることを改めて付記する。

2026年10月8日
埼玉県RSV流行監視ワーキンググループ
大山昇一、金井雅代、國方徹也(文責)、小島拓朗、小林敏宏、是松聖悟、須賀健一、菅沼栄介、清宮綾子、飛彈麻里子、峯眞人、